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結果、エクリチュール、書くことについて
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結果、エクリチュール、書くことについて
結果を出そうとして生まれる結果よりも、ただ何かを続けているうちに、不意にポンっと出てくる結果のほうが、どこか純粋で、むしろ美しいように思える。これは、僕が努力家ではないからだろうか?それとも、僕たちの生きるこの世界が、予測や計画を超えた何かによって動かされていることを、本能的に知っているからだろうか。
成果、成功、結果。人はそれを求め、積み上げていく。だが、本当に価値のあるものは、そうした努力の果てに生まれるのか、それとも、予期せぬ瞬間に、偶然のように降ってくるものなのか。たとえば、歴史に名を残した多くの作品は、計画的な努力の結晶というよりも、むしろ書かざるを得なかったものではないだろうか。ドストエフスキーの小説、ピカソの絵、バッハのフーガ。彼らが目指したのは結果ではなく、ただ書き、描き、奏でることだった。
文章を書き続けてきた。様々な場所と媒体で。振り返ると、これまでにnoteで書いた記事は507本。エディタの完了フォルダを見ながら、ふと過去のタイトルを思い返す。「香港の窓辺から」「どうして人はスパイスからカレーを作るようになるのだろう」「東京ロービート」「ペパロニカレー」。10年前は、もっと自由に、もっと軽やかに書いていた気がする。何かを伝えるというより、ただ書くことが楽しく、それだけを求めていた。あの頃の文章には、無邪気なリズムと、無防備なユーモアがあったように思う。
今、私たちはAIの時代に生きている。ChatGPTのような大量学習した人工知能が、驚くほど精巧な文章を生み出す時代だ。だが、その洗練された文体には、何かが欠けている。言葉の乱れ、不完全さ、思考の揺らぎ、文脈の曖昧さ。そうした人間の痕跡のようなものこそが、文章の本当の美しさなのではないか。あるいそのような「揺らぎ」すらもAIが再現していくことは見えている。だが書くことは単なる情報伝達ではない。それは記憶を刻む行為であり、時間と身体の痕跡を残す営みだ。AIにはそれができない。できないというより、記憶を刻むことや、身体の痕跡を残す営みには興味すらない。(あるいはそれすらも…)
最近、あるアーティストとライターと話す機会があった。彼らの文章の書き方は、僕の創作に新たな視点を与えた。アーティストの彼は、Googleドキュメントをダークモードにして、画面サイズを200%にし、文字サイズも拡大して書くという。画面には3、4行しか表示されない。その極端な方法で「今、書いている言葉」だけに集中するのだという。とあるライターは、「エクリチュールの物質性」について語った。書くことは、話すこととは異なり、一度書かれたものは動かない。固定化される。だからこそ、慎重に選び抜かれた言葉は、時代を超えて生き続ける。
残るTwitterの呟きに対して、残らないInstagramのストーリーズがある。SNSにおける文字の物質性はどこまで固く、感触として残るのか。
書くこととは何か。読むこととは何か。記録することとは何か。デジタル時代において、僕たちはこれらの問いに新たな視点を持つ必要がある。かつて、文学は紙の上に刻まれ、書物として残った。しかし今、僕たちはデジタルの海の中で書き、投稿し、更新し、消去する。言葉の寿命は、SNSのタイムラインの流れとともに、あまりにも短くなった。
それでも、書くことは続く。たとえ結果が出なくとも、意味が見えなくとも、書き続ける。ヨガに「試合」がないように、書くことにも「本番」はない。ただ日々の実践があるだけだ。結果を求めずに続けること。その行為こそが、きっと何よりも価値のあるものになる。
もし、あなたが今、何かを続ける意味を見失いかけているのなら、大丈夫だと言いたい。続けることには、それ自体に価値がある。誰に批判されようとも、どれだけ孤独を感じようとも、書くこと、描くこと、奏でること、その営みをやめないでほしい。世界は、予測を超えた偶然の美しさに満ちているのだから。
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3月も終わりですね。春先らしい雨が振り、生ぬるい風が吹いています。植物の息吹が地面から一斉に立ち現れてくるこの瞬間、次第に上がっていく気温の中で、ヨガの練習で汗もかくようになり不快さと快適さの狭間にいます。不快だと感じるラインの直前、ぎりぎりのところに留まることが最も快適で、その境界を探し続けています。
およそ一ヶ月間の移動祭りがようやく落ち着いて、今週は東京にいます。いつものホワイトボックスです。
ここ最近は新メンバーシップ関連の作業を続けています。noteから重要記事を移行しました。LeicaやGR、x100f、KodakFZ45、撮影機材紹介など写真・カメラ系の懐かしい記事から、ネットビジネスやこのニュースレターでも書いているミニマリストのクレジットカード事情など。noteのアナリティクスをベースに選んでいるので、自分の判断ではなく、市場評価に耐え抜いた?記事群になっています。今後は新メンバーシップのTokimaru Coreに一本化しますので、深く読みたい方はぜひご参加ください。
Newsletterの無料版は引き続き発行します。有料版もしばらく継続しますが、基本的にはCoreで書かれた記事のスピンアウト版となります。
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週末は花見の予定の方も多いと思いますが、東京の天気はあまり芳しくないようですね。それでも、良い週末をお過ごしください。