新たなスタジオに入れた道具
Coreの限定コンテンツである「The Gear Philosophy – 道具の哲学」では、単なるスペックだけでなく、選び抜くまでの思考や美学を共有している。
一般公開しているこちらの持ち物リスト一覧は、基本的にバックパックの中にいつも入れている常備品であり、1Bagスタイルの提示であり、実は家に置いているほとんどのホーム用品は掲載していない。
今回は、引越しにつき、ホーム用品を複数アップデートしたので、ここで全て共有したい。
現在の持ち物の数は、58個。
家具家電含めた部屋にある全てのものを合計すると77個となった。
バックパックの中身はほとんど変わっていない。増えたのは、ホーム用品であるが、追加ではなく、交換したものがほとんどであるため、モノの総数自体はさほど増えていない。
それでも、金額的には結構買った(総額41万円)ので、自分の中では「増えたな」という感覚がある。
今回部屋が20平米になって、収納スペースも増えたおかげで、あらゆるものが収まるようになり、結果的に前回のホワイトボックスよりも、体感の広さと余白は増えたことになる。それがすごく嬉しく、快適だ。
何かを新しくすると、それにより他のものを連鎖的にアップデートしてしまうことを「ディドロ効果」と呼ぶ。これは過去にも動画や文章で記してきた理論だ。
今回は、引越しという「買い物」により、部屋に合わせて、道具の諸々をアップデートするというディドロ効果が働いている。
部屋が新たになると、その部屋の色や広さ、雰囲気により、それに合わせた家具や家電、道具を揃えたくなる。人生で誰もが一度くらいは、雑誌BRUTUSなんかに載ってるような、素敵な部屋を目指そうと試みたことがあるのではないだろうか。
自分のそのような試みは、20代で一通り終わった。センスも経済力もない自分は、おしゃれな部屋を作ることができなかった。
30代からは、何もないことを美学とするようになった。部屋には何もなければないほどいい。それはエクストリームな実践に始まり、今もゆるく続いている。
先日、ついに40歳になった。40代からは、エクストリームな路線を引き継ぎながらも、ソロプレナーの仕事場というのが、部屋作りの大きなテーマになると思う。今回導入した道具は、あらかたそのようなコンセプトに合わせたものになっている。
何もなければ、全てができる。
これまで、部屋をスタジオと見立ててきた。何もない部屋は、撮影スタジオになり、収録ブースになり、ヨガの練習場になり、仕事の作業場になり、DJフロアになり、寝たり食べたりする生活スペースになる。そのような実践は、これまでホワイトボックス暮らしという形でYouTubeで共有してきた。
ホワイトボックスというのはそもそも、アートギャラリーの呼称でもある。その名の通り、白い部屋で、壁に絵画や写真を自由に配置できる箱を意味する。
そのような部屋の自由と可変性は担保しながらも、制作に特化したコックピットのような体裁を組み込むイメージ。素材、品質、経年優化、長期的使用を前提とした道具を入れることで、少し腰を据えて、実践を深められる場所。これはドミニックローホー的アプローチである。
導入のタイムラインは以下の通り。
内見せずに入居したので、部屋には照明がなかった。
まず照明を入れた。そして事前に発注しておいた、冷蔵庫が届いた。一人暮らし用フルサイズの冷蔵庫を使用するのは2020年以来の6年ぶりだ。
それから、椅子とデスクが届いた。これは2ヶ月前に発注しておいたもの。
保管場所に余裕があるので、防災アイテムを揃えた。ウォータータンク、カセットコンロ、ラジオ。これらは日常使用できる素晴らしいものである。
冷蔵庫を手に入れたおかげで、使える食材の幅が広がった。現在持っている調理器具は400FDのみなので、これに何か一つだけ、調理道具を加えるとしたら何か?この問いについて4日ほど考えた結果、出した答えは、鉄フライパンだった。
みなさんにようやく伝えられる興奮のあまり、前置きが長くなっている。紹介に入ろう。
各アイテムにはブランドとアフィリエイトリンクを貼っている。
de Buyer Iron carbon plus 18cm
子育て、はじめました。
デバイヤーの鉄フライパン、18cm。重さ890g。カーボンプラスというシリーズの中で、最も小さいもの。一般の家庭用のフライパンは22cmあたりが標準とされるところを、あえて、最小の18cmを選んだ。
18cmだと何ができるのか。いつも食べている玄米・味噌汁・納豆という禅ディナーに、もう一品だけ、目玉焼きや、サーモンのソテーや、チキンのソテーを作ることができる。これまで食べたい時は外食か惣菜で買っていたものを、自分の味付けで素材から調理できることは、素晴らしい。栄養バランスを上げながら、食費のコストを下げられる。
一人分の調理なら18cmで十分である。むしろ、コンパクトな取り回しと、道具としての存在が引き立つ。400FDのチタンカップとの組み合わせも素敵だ。
鉄のフライパン育てる楽しみがある。味が出てくるのが、道具としての所有欲を満たす。テフロンのフライパンは2、3年でダメになり、買い替えることになる。使用中に剥がれたテフロンを微量ながら接種してしまう問題もある。鉄フライパンは、微量ながら鉄分も補給できて、使い方によっては一生持つ。このデバイヤーは、全て鉄でできており、取っ手にも木材が使われていない。だから壊れる要素が無い。その分、高温で使用していると、ハンドル部分が熱くなる。だがそれも、火という原始的な道具を、都市の幽閉されたコンクリートマンションにいながら感じる接点になる。
実はデバイヤーのパンを買うのは二度目。2018年に、一度ミネラルビーというシリーズの20cmを購入して、しばらく使用していた。この時に、デザインや品質には惚れ込んでいたところがあり、また買うならデバイヤーかもしれないという思いがあった。人間は繰り返す生き物だ。
今回は18cmにサイズを下げて正解だったと思っている。道具としての美しさがあり、一人用の食事を400FDに並んで十分に満たしてくれる。
このサイズなら、キャンプにもぎりぎり持参可能かもしれない。
人生をどこでどう間違ってしまったのか、子育てをせずに、フライパンを育てている。毎日使うのが、楽しくてしょうがない。
有料Podcastは今後Coreに統合します
2026年5月31日をもって、Substackの有料Podcastは停止します。
以後、有料音声はCoreで配信します。
これからは、Podcast、長文記事、制作日記、道具の哲学(持ち物リスト)、ライブアーカイブを全てCoreにまとめます。
もし今後も聴き続けたい方は、Coreへの移行をご検討ください。
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・YouTube Blueprint / YouTube実践書
・最近の読書『身銭を切れ―「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質』ナシーム・ニコラス・タレブ
・今週のPodcast: 快適な部屋の条件



