デジタルミニマリズム 2026
デジタルミニマリズムについて考えている。考えて実践しているのに、気づけばスマホ内のアプリは散らかり、PCの中も煩雑になり、頭の中も整理されない状態が続く。だから定期的に見直して、整えることが必要になる。
スクリーンを見る時間が増えると、幸福度が下がるという研究がある。逆に言えば、スクリーンを見る時間を減らせば、誰でも幸福度を上げられるということだ。お金を稼ぐよりも、節約して支出を減らし可処分所得を増やすほうが簡単だと言われたりする。スクリーンタイムを減らして得られる幸福は、それに似ている。根本的に、ミニマリズム思想と相性がいい。
ただ減らすだけ。簡単なように思える。だが、これがいかに難しいことか!
まず、スクリーンを見る時間を減らせないのは、設計と環境に問題がある。
スマホやアプリは、使用者の滞在時間を長く伸ばすために設計されている。それも世界トップに頭のいい技術者たちが、考えに考えてそのような設計をしている。普通に使っていて、その罠から逃れることができないのは当然だ。誰もが「気づいたときには…」という状態になっている。
先月、米国カリフォルニアで、SNSを使用して鬱になったとして、メタとGoogleを訴えたニュースがあった。原告は陪審員に支持され、企業側はその責任を認めた。米国でこのような訴訟は2000件を超えている。
現代の問題の多くは、人間の脳を巧みにハックすることにより起こっている。情報過多により、いつも脳疲労がある状態。それによる睡眠不足。そして身体的不調へと連鎖する。このようなスマホやアプリの設計は、人の習慣や構造に関わる、数ある問題のうちのひとつにすぎない。
ジャンクフード、クリックだけを誘うニュース、簡単に見られる無限のポルノ、終わりのないゲーム、市販で手に入る依存的なドラッグ。すべて安価で、過剰で、即時的な刺激を生み出すものだ。これらがドーパミンレベルを狂わせ、最初は少ない量で効いていたものの、足りなくなり、もっと多量を求めていくようになる。その結果がスマホを見続ける無限スクロールだったり、カロリーオーバーによる肥満や病気だったり、精神的な破滅だったりする。
アプリケーションやデバイスにそのような設計がなされているのなら、逆にその仕組みをハックして、依存を避ける新たな環境を構築する必要がある。正常で静かな環境を取り戻すことができれば、集中力と創造力が高まり、自分のやりたいことが深まっていく。この考えが、デジタルミニマリズムの根底にある。
2026年版、僕のデジタルミニマリズムのアップデートを共有する。
メニューは以下の通り
Light Phone的iPhone設定
入れているアプリの全て
MacBookのデジタルミニマリズム
実際使用してるiPhoneやMacを例にしているが、方法と考え方はAndroidやあらゆるPCで使える。あなたの使用状況に合わせて、使えそうなところを使ってもらえると嬉しい。
1. Light Phone的iPhone設定
過去にLight Phoneのプロジェクトを共有した。Light PhoneはDamn Phone [クソなスマホ] (なんて可哀想な言いようだ)の先駆者的な存在で、現代の超便利でなんでもできてしまうスマホのカウンターカルチャーとして生まれた。日本では似たようなものに「ガラケー」があり、これも通話やメッセージなど最低限の電話としての機能を備えたデバイスという点で、Damn Phoneの一種と捉えられる。
日本での通信状況のテストという名目で、日本上陸前にデバイスを使わせてもらった。その思想や使用感に感動し、その経験が僕のデジタルミニマリズムに大いに役立った。
このLight Phone的カスタムをiPhoneに施すことが、デバイス依存から逃れる最短距離になる。
Light Phoneは、E-inkディスプレイ、モノクロ、必要最低限のアプリ、webを通じてのアプリインストール、基本的にできることは、電話とメッセージのみ。というとてもシンプルなものだ。
これをそのままiPhoneに導入すると、仕事として使っている人は失敗する。(僕も過去にやってしまった)
だからLight Phone的なカスタムを施しながらも、いかに現代生活での最低限の利便性を失わないか。ソロプレナーとして、事業を行うことに支障がないか。YouTubeやSNSなど発信が仕事の一部である人にとっても、ギリギリのバランスを攻められるか。がポイントとなっている。
iPhoneの場合は最近のOSアップデートにより、Light Phone的実装ができる機能が公式にリリースされた。
それは設定>Accessibility>Assistive Access
で設定できる。
だがこれは、各アプリを設定するのがまず面倒なのと、設定するとまんまLihgt Phone的になり、厳格な修道僧のような雰囲気をもたらし、現代生活にはあまりふさわしくないことが判明した。
やはり面倒くさがりの自分にとっては
・設定簡単
・運用も楽ちん
・すぐ設定完了できる
ということが何より大事だ。
まず、現在のホーム画面を最下部に置いておく。それから実際のセッティングを見ていこう。
step1. ホーム画面にはキンドルとノートだけ
ホームには下部のドックに、KindleとApple Notesだけを置いた。最近BOOXのE-ink readerが壊れたので、iPhoneが読書のデバイスになっている。
基本は、スマホを「読書のための道具」とする考え方。
そして気づいた時にアイデアを記す、メモ張である。電話、メッセージ、決済という味付けは厨房の裏のほうで少々。
ホーム画面は自分の色が出やすい部分なので、好きなアプリを最小限置くのがいいと思う。
置きたいアプリが無い人は、何も置かず、上から下にスワイプしてSpotlightモードで、その都度アプリを入力する、という手がある。
ホーム画面があると「なんとなく開いて、アイコンを眺めて、引力に負けてタップする」という無意識の行動が起きる。何もない画面からSpotlight起動にすると、目的を持って文字を打たないとアプリが開けない。この一手間がアプリの引力を断つ。
全てアプリを消してSpotlight操作にしても、さほど遅くはならない。慣れると3秒でKindleが開く。むしろ目的のないアプリを開かなくなる分、時間が増える。
step 2. グレースケールをオンにする
設定 → アクセシビリティ → カラーフィルター → グレースケール
カメラやKindleを使うときだけカラーに戻せるよう、トリプルクリックショートカットを設定する。
設定 → アクセシビリティ → アクセシビリティショートカット → カラーフィルター
グレースケール、これはLight PhoneのE-ink ディスプレイを再現するのに最重要なもの。
最初はとっつきにくかったが、慣れるとすごい。モノクロ画面がミニマルで、心地よく、それだけでストレスが減るような感じがある。そしてなにより、スマホやアプリを使う時間が減る。刺激が少なく感じる。Kindleで読書欲が高まる。
グレースケールにした瞬間に、まるでiPhoneではなく、あたらしいLight Phoneを手に入れたような気分だ。
そして上記の手順でトリプルクリックを設定しておくのがポイントで、右側の電源ボタンを三回クリックすると、カラーとグレーのモードを切り替えることができる。
写真や動画撮影の時だけ、瞬時にカラーにして確認する。
モノクロ写真が好きな人は、ライカモノクローム的な感じで、モノクロ専用機のようにスマホを扱える。それもまた新鮮で心地よい。
Step 3. SNSをアンインストールする
これが最も重要な一手だ。
SNSアプリを全て消してしまう。Instagram、X、YouTube、TikTok。例外はない。ほとんどのSNSは、確認しようと思えばアプリがなくてもブラウザで見れる。
発信が仕事の人も同様だ。
僕はYouTube Studioも入れていない。
発信する人ほど、YouTube Studioや、他のアナリティクスで、毎日、何回も、視聴回数やコメントや収益を確認していないだろうか。結局それも全てアテンションへの依存であり、スワイプするとシュッと更新されるその仕様で、安易なドーパミンを放出することになっている。
数字を毎日見ることはコンテンツを作ることではない。見るたびに一喜一憂する感情的コストが積み重なり、創造性が削られる。安いドーパミンの典型がまさにこれだ。発信の質と頻度を上げることが唯一数字を動かす行為であり、それはスマホを閉じて、本を読んで、行動し、考えることから生まれる。
アナリティクスを見る頻度は週1回、主体的に分析する時と、発信した翌日くらいに留める。それ以外の日に見ても数字は変わらない。見る回数を増やしても収益は上がらない。
むしろ不快なコメントや伸びない動画を見て、精神をすり減らし、作るモチベーションを下げる効果の方が大きい。
それよりも、次につくる作品に注力しよう。
アプリをアンインストールすることで、開くまでの摩擦が増え、無意識にスマホを触ることがなくなる。発信する日だけブラウザからアクセスする運用にする。
Step 4. ブラウザのタブをゼロにする
開きっぱなしのタブは、気になるけど見ていない状態を作り続け、認知負荷(ツァイガルニク効果)になる。全て閉じる。
Webブラウザのタブで、見る予定のYouTube動画をたくさん開いたり、調べ物をそのままにしていないだろうか。
Safariであれば、スタートページを空にする。
Safariトップ → 編集 → お気に入り・リーディングリスト・よく見るサイト・Siriの提案など全てオフ。
アプリを閉じる時には全てのタブを閉じる。
次に開く時は、何もタブが開いていない状態を徹底する。
Step 5. フォーカスモードを1つだけ設定
スクリーンタイムで、アプリに使用制限をかけるのは上級者向けだ。僕はそこまでやっていない。
代わりに設定しているのが、フォーカスモードを1つだけ設定すること。
初期では、仕事とか勉強とか複数あると思うが、「Do Not Disturb」(集中モード)をひとつだけ作る。
そしてスケジュールを
22:00 – 7:00
に設定して、ON。
これで自動的に上記の時間はスリープモードに入る。
邪魔されたくない時間に合わせて、お好みで。
時間がきたら、ストレッチをしてさっさと寝てしまおう。
Step 6. 通知を電話・メッセージのみにする
これも重要。電話とメッセージを除く全てのアプリの通知をOFFにする。
設定 → 通知 → 全アプリの通知をオフ
バナー・バッジ・音、全て消す。
スマホの方から、語りかけてこない状態にすること。
Light Phoneの静けさに近づく。
Step 7. メールを手動取得にする
設定 → メール → アカウント → データの取得方法 → 手動
自分が開いたときだけ更新される。プッシュ通知でメールに引き寄せられなくなる。
メール作業の時間だけ、アプリを開き、集中して返信する。相手から邪魔されるのではなく、自分から能動的に仕事を行う。
Step6とStep7は、相手の仕事に時間を奪われない設定だ。相手からくる対応に追われてメッセージやSNSを返していると、それだけで1日が終わってしまうことになる。そんな状態で、いつ自分の創作や仕事ができるだろうか?全ての対応が終わり、ようやく自分の仕事ができる頃にはもう夜で、それで夜更かしして書いたり編集したりすると、寝不足になり、体調を崩すということになる。
自分の時間は自分で守るしかない。自分の仕事をしよう。
ちなみに、メールの手動取得設定は、地味にバッテリーの節約にもなります。
Step 8. ロック画面を空白にする
ロック画面のウィジェットを全削除。壁紙は黒か白の無地。時刻のみ表示。
僕は、背景は黒、日付、時刻のみにしている。
カメラはスワイプでアクセスできるし、ライトやタイマーは右上スワイプのコントロールセンターからアクセス可能。だからロック画面には、何もいらない。
時刻だけにすることで、Light Phone感が増す。
Step 9. 朝起きてすぐ触らない
最後は設定ではないが、最もインパクトが大きい。
朝起きてすぐスマホを見る習慣と、夜寝る前にスマホを見る習慣をなくす。そのためには先述した設定が有効。
寝室がある人は、寝室にスマホを持ち込まない。充電場所をベッドからなるべく遠くにしておくのも効果がある。
僕は現在、アラームを使わない。
そして朝起きてすぐ行っていたDuolingoも辞めた。これも結局は連続日数という小さなドーパミンを放出するためだけのゲームであることに気づいた。広告や課金も時間も無駄である。
それよりも、好きな英語のポッドキャストや文章を読み、書いて、自発的に勉強するほうが、英語は深められると思った。Duolingoをやるより、英語ネイティブの友人と会う機会を増やし、実践で喋りまくる方法に変えた。
朝スマホを触らないことで、1日が気分よく始められる。
小学生の頃のような、何の不安もなく、楽しい日々を取り戻しつつある。
現在iPhoneに入れているアプリは23個だった。
設定>一般>about で確認できる。
今日から設定して、小学生のような日々を取り戻そう。
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