AIの加速度的な進化により、中国では起業する人が増えているそうです。AIをエージェント、もしくは社員的に使い、代表ひとりいれば成立するようなビジネスや会社は、今後日本でも増えていくと確信しています。
ただし、僕が会社をつくったのは、そういう理由ではありません。簡単に言えば「成り行き」です。個人事業主として長くやってきて、売り上げが個人規模の範疇を超えてきた。だから会社をつくるか、という感じです。挑戦などという大きなものではなく、どちらかと言えば「仕方なく」という後ろめたささえ漂っています。
個人事業主が法人を作ることを「法人成り」と言います。おそらく語源は違うと思いますが、この「成り」には、僕のような「成り行き」の人がけっこういるんじゃないかと思ったわけです。
それで、選択肢や情報が多すぎるこの世の中で、これから起業や法人設立を目指している人に、自分の個人的ディテールが役に立つのではないかと思い、『ソロプレナーの会社設立』を書きました。
最初は実際に行ったことだけを書いた、簡単なものにしようと思っていましたが、書いているうちに力が入り、税や社会保険、そして法人になるタイミングをどのように計るか、実際不要だったことまでを細かく書いています。
当然、ミニマリスト的アプローチをとっており、道具・労力・書類・そして役所を回る順番まで(笑)、どのようにしたら最小限で会社をつくれるかに挑戦しています。その点では、他にない起業本・法人設立本になっていると自負しています。
これから会社をつくる人、ゆくゆくは自分の会社を持ちたいと思っている人に読んでもらえたら幸いです。
今週のLettersでは、冒頭部分をお送りします。
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ソロプレナーの会社設立
僕にとって会社とは、所属しないためにつくる組織である。
会社や団体に入ると、守られる代わりに縛られる。会社をつくることは、守る構造を自分の手で所有すること。ミニマリズムと会社の所有は、矛盾しない。持たないことの本質は物の少なさではなく、他人の構造に依存しないことだから。
このガイドは、拙著『ミニマリスト・ソロプレナー』の実践編であり、会社をつくる手順にフォーカスしたものである。ひとりで会社を設立し、維持・運用する方法について書く。ビジネスの方法論(何を売り、どう伸ばすか)にはさほど踏み込まない。多くの人が、自分のやりたいことや、今の仕事の延長線上で起業するため、事業内容は人によって異なるからだ。
僕のビジネスの方法論については、Coreで毎週断片的に共有してはいるものの、未だまとまったものを書いていない。計画としては、別の本としてもう少し先にある。このガイドは法人設立と、会社運営のスタートに特化したものである。
読み終えるとできること
・代行に頼まず、ひとりで1ヶ月ほどで登記できる
・商号、所在地、資本金、決算月、事業目的を決め、会社の設計図を完成させられる
・設立前後に必要な手続きを、期限と順番を追って進められる
・銀行、カード、会計、給与、社会保険の最小構成をつくれる
・個人事業と法人の売上、経費、口座を正しく分けられる
・ソロプレナーの観点で税と社会保険について学べる
・個人事業主が会社をつくるタイミングを判断できる
起業の方法や、会社を作る手順は、本やネット上を調べればいくらでも出てくる。今ならAIに聞いてもいい。
ここで書くのは、実際にTokimaru Tanakaがどのような意図で、そしてどのような手順で、会社を作ったかである。
本やネット上に出回っている起業の方法は、完全ではない。そして選択肢が多すぎる。だからここでは、個人的なディテールを重要視する。
おもしろいことに、会社をつくるというのはどこまでも実務的な行為で、まず印鑑をつくるところから始まる。どこでどのような印鑑を作り、どのSaaSを使い、どの銀行で法人口座を開設し、どこのクレカを作り、どこでオフィスを探し、どの役所をどの順番で回って手続きを完結させるのか。その際に必要なお金・道具・書類を明確にする。個人事業と法人事業をどのように区別し、正しく運用していくか。
そのような、僕が実際に使い、行ったこと、そしてその中でつまずいたこと、注意したほうがよいことを具体的経験をもとに書く。それも圧倒的に、ミニマルな仕方で。
おそらく、ここにたどり着いたあなたは、僕のことを知っている人だと思う。僕は本質的にミニマリストで、なるべくモノは持ちたくないし、面倒なことも減らしたい。会社をつくると、モノが増え、面倒であることも知っていた。だからこそ、いかに備品や道具、そして書類を増やさずに、完結できるかを考えてきた。法的に必要な手続きは確実に行いながらも、ミニマリストならではのアプローチを試みている。
そういう意味で、このガイドの核は、第7章「設立までの30日:すべてを一人で行う」にある。
完全に真似をすれば、誰でも1ヶ月以内に会社を設立し、さらにその1ヶ月以内に法的に必要な手続きを終えられるようになっている。だが目的は、完全な模倣ではなく、判断のヒントを得ることだ。あくまで、Tokimaruはこのようにした、という道標を置くので、参照しながら、自身の会社設立の参考にしてもらえると幸いだ。
前提として、『ミニマリスト・ソロプレナー』の思想があることを強調しておきたい。これは最初からApple社のような、リアルプロダクトでスケールし、社会にインパクトを与える会社をつくるガイドではない。その対極にあるとも言える。一見地味で、ささやかで、社会への影響は大きくないかもしれないが、強く確かな基盤となるような会社。あくまで、一人で、最小限の道具で、少ない労力で、個人会社を作る方法である。
このガイドは、僕のような個人で活動しているクリエイターに向いていると言える。または、自身のプロダクトやサービスを既に持っていて、法人化して一人でスケールさせたいベンチャー肌の人。あるいは、単に会社の設立に興味がある人や、将来的に自分の会社を持ちたいと考えている人。その場合は、このガイドを読むことで、「意外と簡単だ、自分にもできる」と思えるかもしれない。
一方で、買って後悔しないように、向いていない人も正直に書いておく。従業員を雇う前提の人、資金調達や急速なスケールを目指す人、すでに税理士がいる人、実店舗や在庫を持つ類のビジネスをしている人だ。このような人は、会社の設計や、必要書類が変わってくるので、本ガイドの内容がそのまま通用しない部分が出てくる。
また、地域の前提として、僕は東京都・渋谷区で会社を設立している。基本的に、この地域を前提に話は進むが、手続きの流れは全国共通なので、窓口名だけを読み替えれば、住んでいる場所がどこであっても使える。
YouTubeで「ミニマリストが会社をつくった5つの理由」という動画を作った。これも参照して頂きつつ、まずはその裏側にある構造の話から始める。
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・YouTube Blueprint / YouTube実践書
・今週のPodcast: ソロプレナーの会社設立
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