モノを減らした後には、空間と時間ができる。
自由になった感覚を得られるが、暇になり退屈になり、せっかく空いた場所を他の物で埋めようとする。これは物だけに限らない。
ミニマリストはなんでも、ひとつの物を多用途に使おうとする。その代表はスマホだ。
僕も一時期、スマホにすべてを集約したことがあった。カメラも手放し、スマホ1台でのプロダクションを試みてきた。スマホは確かに何でもできる。撮って、書いて、編集して、発信して、連絡して、音楽聴いて、本を読んで、時計にして、決済をして。1台に集約できるのは便利だが、なんだか疲れる、なんだか集中できない。落としたり、失くしたりした時に詰む。
同じ画面でなんでもできるからこそ、本を読んでる間に、SNSを開きたくなるし、通知は飛んでくる。スマホが高機能になればなるほどに、僕たちのアテンションは奪われていく。来月発売されるiPhone duoは、Kindle的な広さと、ペンシルによるタブレット的形式をも備えるため、「携帯+小型タブレット+読書端末」という統合が可能になる。スマホ・iPad・Kindleをひとつに統合できるデバイスで、持ち物を減らせるという点では、ミニマリズムだ。
しかしこの大画面でSNS、メッセージ、動画をマルチタスクで延々見るようになったら、Duoはミニマリズムではなく究極のドーパミン端末になってしまう。おそらく、折り畳めない端末よりも依存度は強力そうだ。
機能をひとつに集約できれば、持ち物を減らせる。現代のミニマリストは、スマートフォンの発明がなければ、この世に存在していないだろう。じつに有り難きことだ。
空いた場所を他のもので埋めようとするのは、結局のところドーパミンの出所を代替しているにすぎない。刺激がなくなれば、また別の刺激を求める。人は退屈にもっぱら弱い動物で、それは人間に備わる生存本能でもある。狩猟採集時代は、狩りをし、食べ物を探しながら移動生活を送る中で、見つけた獲物はすぐに食べてエネルギーにしないと、自身の生存が脅かされた。だから空腹、何もない状態というのは、人によって危機なのであり、それを回避するために、脳が、もっと取得せよと命じる。食料や寝床が十分に確保されるようになった現代では、何かを獲得する期待値が得られる時に放出されるドーパミンの働きが、生存には絶対必須ではないものー嗜好品、過度な情報、ポルノ、ドラッグーなどに移行している。
良くない依存(代替)パターンとしては、いくつか考えられる。
物を減らして空間ができて、また別の物を買ってしまう(服など多いね)
物を減らして時間ができて、その時間でSNSやゲームやその他アプリの消費に走る
物を減らして時間ができて、ギャンブル・ポルノ・ドラッグに走る
このように書くと、まるで物を減らすほうが、デメリットが多いのではないかと思う。好きなものたちに囲まれて、それらに依存しているほうがまだマシという考え方もできる。特に心身に明らかに害を及ぼす3に関しては。
面白いのは、上記3つはすべて、スマホひとつでできてしまうということだ。
ショッピングはスマホの得意分野だし、SNSの無限スクロールは手のひらにフィットして、いつも持ち歩けるスマホでしかできない。ボートレース、競馬、宝くじなどもスマホで購入可能。ゲームなどのプレイ・通信・課金系も本場だ。ポルノもあらゆる場所で好きな時に見れて、実際のドラッグだけはスマホでできないが(倹者の流儀のくらまさんだけは、マネーフォワードのアプリを執拗に吸っている)、ネットを通じて売人と知り合い実物を買うことができる。なにより、ここで上げてきたスマホでできる行為自体が、依存という点ですべて「ドラッグ的」なものだ。
結局、スマホ依存から逃れるには、スマホを使う時間を短くする以外に方法がないように思える。
使用時間を短くするために、僕が行っている実践をあげてみる。
スマホに入っているアプリの総数を減らす(現在31個)
ホーム画面に何も置かない(ドックには Spotify, Kindle, Notes)
グレースケールで使う
SNSアプリを入れない(X, Insta, YouTube, Substack入れていない)
SNSを投稿する時はPCブラウザから使う(Instaのストーリーのみアプリで)
投稿したらアプリを削除
だが、これだけやっていても、慣れてしまえば、いくらでも依存できることに気づいた。
アプリの総数を減らしていても、気になるアプリや、必要なアプリがあればすぐダウンロードできる。ホーム画面に何も置かなくても、ひとつスワイプすれば、フォルダごとにアプリがずらっと並び、簡単にアクセスできる。むしろそれが普通の状態となる。SNSアプリを入れていなくても、ブラウザで簡単に使える。PCブラウザだと逆に視認性も良いので、大量の情報を効率的に得られる。自分の投稿して、アプリを削除しても、次に投稿する時にまた結局アプリをダウンロードする。
この中で唯一永続的に効いているのは、画面のグレースケール化だ。
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