サブスタック完全入門
なぜ、今サブスタックなのか
スクロールを止められない。『カメラを止めるな』、ならぬ、スクロールを止めるなという長回し一発撮りのホラー映画のごとく、気づけば30分、1時間が過ぎている。まるで誰もがゾンビのようである。
InstagramやX、TikTok—これらのプラットフォームは、あなたの時間と注意を最大限に奪うよう設計されている。アルゴリズムが優先するのは、「有益なコンテンツ」ではなく「人の目を引くコンテンツ」だ。炎上、過激な意見、感情を揺さぶる映像。それらがタイムラインを埋め尽くす。
なぜそうなるかは単純だ。広告収益モデルに依存しているプラットフォームにとって、ユーザーの滞在時間こそが命だからである。クリエイターも同じ構造に引っ張られる。バズれば収益になる。ここでは両者の利益が一致している。だから、深く考えさせる記事よりも、反射的に反応させる投稿が増える。ノイズは増殖する。
これは他人の人生を生きることに等しい。
あなたがスクロールしている時間は、誰かが「見てほしい」と設計したコンテンツに費やされている。あなた自身の思考や関心ではなく、アルゴリズムがあなたに見せたい、と判断したものを消費しているのだ。
サブスタックは、その構造から根本的に切り離されている。
サブスタックの収益モデルは広告ではなく、読者からの購読料だ。クリエイターが収益を得るのは、読者が「この人の文章にお金を払いたい」と思ったときだけ。つまり、バズらなくていい。炎上する必要もない。ただ、深く、誠実に書けばいい。
そしてもう一つ、決定的な違いがある。サブスタックの記事は、読者のメールボックスに届く。タイムラインではなく、受信トレイに入る。これは意味が大きい。読者が自分の意志で購読し、自分のタイミングで読む。アルゴリズムに「見せられる」のではなく、自発的に「選んで読む」という行為が復活する。
これが静かな実践の場としてのサブスタックの本質だと思っている。
サブスタックの基本:noteの上位互換として理解する
日本でよく使われているnoteは、すでに広く周知されるようになった。テキストや画像を投稿し、有料記事を設定できるプラットフォームだ。サブスタックは、そのnoteの上位互換と考えるとわかりやすい。
ただし、決定的な違いがある。noteはSNS的な発見性(他のユーザーのタイムラインに流れる)も重視しているが、サブスタックはあくまでもメールニュースレターが軸だ。読者との関係が、プラットフォームではなくメールアドレスで結ばれる。これは将来的に非常に重要になる。プラットフォームがどう変わっても、メールリストはあなたのものだからだ。
主な機能一覧:
ニュースレター(テキスト記事):基本機能。メールで配信される
Podcast配信:音声を直接アップロードし、エピソードとして配信できる。Apple PodcastやSpotifyとも連携可能
動画配信:YouTubeのような動画をサブスタック上で公開できる。YouTubeへも配信でき、有料読者限定にも設定可能
Substack Chat:購読者限定の掲示板・チャット機能。コミュニティとしての機能を果たす
Notes:Xのような短い投稿機能。サブスタック内のタイムラインに流れる
リスタック:他のクリエイターの投稿を自分の読者に紹介できる機能(後述)
有料購読:月額または年額での課金設定が可能。記事・音声・動画・チャットを有料限定にできる
登録の流れ:
substack.comにアクセス
メールアドレスでアカウントを作成
パブリケーション名(自分のニュースレター名)を設定
プロフィールと説明文を入力
最初の記事を書いて投稿
これだけだ。無料で始められる。有料購読を設定した場合、サブスタックは収益のおよそ10%を手数料として取る。
サブスタックの運営方法:メディアを「育てる」という感覚
SNSで伸びるためのハウツーを探しているなら、このセクションは少し拍子抜けかもしれない。サブスタックに、瞬発力のある戦略はほぼ意味をなさない。
大切なのは、自分のペースで書き続けることだ。日記的に書いてもいい。ただ一つ意識してほしいのは、自分の実践が、誰かの助けになっているかという問いだ。
私がいつも言っている「価値提供」とは、高尚な知識を発信することではない。自分が実際にやってみたこと、失敗したこと、気づいたこと—そういう一次情報を丁寧に書くことだ。それは確実に、同じ場所で悩んでいる誰かに届く。
サブスタックは、SNSのような瞬発的なメディアとは対極にある。投稿するたびに、バズるかどうかを気にする必要がない。届くのは、あなたを信頼して購読している人たちだけだ。だからこそ、深く書ける。背景を説明できる。考えの変遷を記録できる。
アナリティクスも表示数よりも、メール開封率が指標となる。これも、運営する側に刺激が少ない。
読者との関係は、時間をかけて育つ。メールボックスに届くたびに、「あ、この人からだ」という感覚が積み重なっていく。その信頼は、アルゴリズムには決してつくれないものだ。
書く頻度は、週1回でも月2回でも構わない。大切なのは続けることと、自分の実践や思考がにじみ出るような記事を書くことだと思う。
読者を増やす方法:即効性を捨てることから始まる
「読者を増やすコツは?」と聞かれると、私はいつも少し間を置く。なぜなら、この問いに即効性のある答えはないからだ。
まず認識したいのは、読者は自分の実践の蓄積によってしか増えないということだ。実践というのは、言い換えれば行動である。ネット上での一つ一つの行動は、湖に投げられた石のように機能する。行動しなければ、波紋は生まれない。湖に石を投げなければ、誰かに伝わることもなく、その後のコミュニケーションも発生しない。コミュニケーションが発生しなければ、コミュニティは形成されない。
小さくても良いから、大きなネットという湖に、とにかく石を投げることで、活動は始まる。それが実践の意味するところである。
AIで大量にコンテンツを生産する方法もある。投稿頻度を上げて露出を増やす戦略もある。でも、それらは長期的には信頼を損なう。読者はすぐに感じ取る。「この人、自分で書いていないな」「これ、薄いな」と。
AIが人間のように上手く書け、有益な情報を提供したとしても、誰がAIの発信を心から「追いたい」と思うだろうか?
結局、私たちは人間なのである。傷が付けば、血が出る。この熱く、有限な身体を誰もが持っている動物なのである。AI時代においてはますます動物になる必要がある。心から湧き出る声を、体から発する匂いを、求めている。それは本能的に。コンテンツにそれが込められるかは、また別の問題があるにしても。
大事なのは順番だ。
まず自分の人生がある。そして、自分のやりたいこと・実践があり、その副次的な記録としてサブスタックがある。コンテンツを作るために生きるのではなく、生きていることを書くのだ。
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