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Current Location: Tokyo
Reading: 贈与論 by マルセル・モース
Listening: Yaeji - WAKING UP DOWN
Quick Notes
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贈与と交換
仕事に必要なたった一つのツールとルール
Q&A
今週の気になる記事
Outro
贈与と交換
今週はマルセル・モースの「贈与論」を読みました。社会学、人類学の古典として学生の頃に読んだ記憶はありますが、内容はほぼ忘れていて、新鮮に感じられました。人類学者が陥りがちな一箇所のフィールドや対象への言及を越え、ポリネシアやメラネシア、北西アメリカの先住民族の事例を複数比較しながら贈与や交換について記述することを試みています。
モースは贈与を個人間の単なるモノの取引ではなく、交換の義務を伴うシステムとして捉えました。今でも何かをもらったら、返さなければならないと思ってしまうのは、社会制度や儀礼と深い関わりがあるからです。
モノを循環させるシステムは、マリノフスキーが民族誌として記述したトロブリアンド諸島のクラ交換が有名ですが、モノを、贈る義務、受け取る義務、返す義務から成り立っています。モノを循環させることは経済活動の一部になっているだけでなく、親族関係や政治を形成し、地域の平和や連帯感を保つ役割となっていました。
送り手がモノを贈って、受け取る側がそれ以上のモノを返せないと、送り手側のほうが権力を持つということになります。つまりモノの交換はそれ自体が、権威の表明や名誉の獲得であり、社会的な地位を確立することに繋がっているのです。これはポリネシアやメラネシアの社会だけでなく、私たちの現代社会でも同じようなことがあると思います。家族や会社や組織でも、与える側のほうが強い。何かを与えるとそれだけで強くなってしまう、とも言えます。
またモノにはそれ自体に送り主のエネルギーが宿ると考えられています。それは「ハウ」や「マナ」という言葉で表されるものです。一部の社会ではそのようなモノの霊性が、返礼の習慣に影響を与えていると考えられています。これも日本では馴染み深いものだと思います。例えば、古い人形とか、おじいちゃんの形見とか。そのようなモノを身につける習慣があったり、近くに置いておくと、いざという守ってくれるという考え方があったりする。また、そのようなモノには元の持ち主の魂がこもっていて、なかなか捨てられない、と考えたりもします。
モノの循環を単なる経済活動だけでなく、贈与システムや霊性を含めて考えてみると、ミニマリズムもまた1段階、奥深いものになってきます。
モノを貰わない、渡さない、を基本としているようなミニマリストは、権力への抵抗でありながら、政治や、地域社会の平和や連帯感の放棄と言えなくもない。これはとても極端な話ですが。
僕は読み終わった本を、メルカリで売るのではなく、友人や知人や必要そうな人に突然譲渡する「本テロ」という活動を長らく行っています。(急に本を渡されるので迷惑がられることも多々ありますが笑)これは押しつけることを楽しんでいるわけではなく、何かを渡すことでそこに会話とコミュニケーションが生まれることが本質です。渡したことに対する見返りは全く期待しないのですが、渡した人から「面白かったよ」と言われたり、時には本テロ返しをくらうこともあります。その本を読んでみると、また自分が普段手に取らないような本だったりして、新しい世界を知ることになる。
そのように考えると、ミニマリストというアナーキーでパンクスな”態度”を取っておきながらも、結局はモースが書いているような、贈与と交換のシステムの中に生きているなと思うのです。モノが少なくなればなるほど、逆説的にモノの力(霊性)を強く感じるようになるのも、ミニマリズムの効用のひとつなのかもしれません。
仕事に必要なたった一つのツールとルール
今週のnoteから要約版です。
様々な種類の仕事を効率よく進める方法について書いています。仕事管理にはアウトライナー(Workflowy)を使用しており、受注ごとにアウトラインを記録することで、進捗を視覚的に把握しやすくする。これにより時間軸の異なる、複数の仕事を、並行して進めることができます。加えて、デスクトップの整理も重要であり、自分なりのファイル、データ、ディレクトリ整理ルールがあると、業務効率が高まります。効率化の方法は人それぞれですが、他人の方法を参考にし、自分に合った形でカスタマイズすることが大切だと書いています。
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今週気になる記事
米国の消費財メーカー各社は、関税の可能性に先手を打とうと急いでおり、日用品の価格に及ぼし得る影響について警告を発している。トランプ氏は米国内での製造を奨励するため、中国からの輸入品には60%、その他の国からの輸入品には最大20%の関税を課すと警告している。
・A New American Renaissance:Crypto Celebrates Trump’s Return
かつて暗号資産に懐疑的だったトランプ氏は、米国をビットコインの超大国にすると公約し、共和党候補者への数千万ドルの支援を業界から得た。今夏の選挙戦では、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長を解任し、米国でのビットコインのマイニング(採掘)に万全を期すなどと約束していた。
・Biodegradable aerogel: Airy cellulose from a 3D printer
一見すると、生分解性素材、3D プリント用インク、エアロゲルには共通点があまりないようです。この 3 つはいずれも将来に大きな可能性を秘めています。しかし、「グリーン」材料は環境を汚染せず、3D プリンティングは無駄なく複雑な構造を生成でき、超軽量エアロゲルは優れた断熱材です。Empa の研究者は、これらすべての利点を 1 つの材料に組み合わせることに成功しました。そして、同社のセルロースベースの 3D 印刷可能なエアロゲルは、さらに多くのことが可能です。
Outro
東京ではいよいよ10℃を下回る日が出てきましたね。10℃を下回ると体感として「寒いな」と感じます。しかし先月から山の上で0℃を体験しているせいか、今年は寒さへの耐性が少しあるような気もします。ただの気のせいかもしれませんが。
今週は少しばたばたとしていました。10ヶ月ぶりくらいに医者にかかったり、会食があったり、新規クライアントとMTGをしたり。自分は冬になると寒さに負けて行動力が鈍るタイプなのですが、どうやら世界には冬好き・寒さ好きが結構な数いて、寒くなると行動が活発になるようです。まだ寒くない秋の心地よい季節は大丈夫ですが、それを超えると冬眠したくなります。コタツでみかん。
とは言え、ヨガやランニングをするには良い季節で、身体がヒートアップしても外気で自然に冷やされるので、活動限界が上がります。夏場だと多量の汗が邪魔になるアシュタンガヨガの練習は、冬場はより集中できて快適になります。マットも水浸しにならない。身体が温まるまでは寒いのですが、一度温まってしまえばこっちのもの、という気持ちで日々練習しています。