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Current Location: Tokyo
Reading: 方丈記, 鴨長明
Listening: Redbone by Childish Gambino
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現代版方丈記
良いセールスマンである前に良いクリエイターであること
今週気になる記事
Q&A
Outro
現代版方丈記
鴨長明の方丈記を読み直した週だった。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」で始まる文章は、学生の頃に一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。改めて大人になって、今、現代語訳版を読み直したら染みるものがある。
鴨長明は1155年に生まれ、1216年に没した日本の詩人であり随筆家。琵琶の演奏と和歌を好んだ。晩年は京都の日野の山腹に方丈庵と呼ばれるとても簡素な住居をかまえて、質素な生活を送った。現代のミニマリズムに通じる部分も多い。
大火災、竜巻、大地震という災害を立て続けに経験し、「人間のすることはみんな愚かだ。こんなに危ない都の中に家を建て、それに財産をつぎこみ、あれこれと心労を重ねて苦労するとは愚の骨頂、まったくつまらないことだと思う。」と記している。このようなムードは、テロや震災やパンデミックを立て続けに経験してきた現代にもどこか似ていて、共鳴する。特に元暦2年(1185年)の大地震の余震の描写は、東日本大震災の時に体験した状況に酷似している。鴨長明の文章には災害の明確な時期が記載されているので、災害文学とも呼ばれているらしい。
読んでいて印象に残った部分を記そう。
「どんどん年をとり、住居は移動のたびに狭くなっていく」
晩年に暮らした住処である方丈庵を語る時の言葉だ。方丈庵は約3m×3mで、広さは約9平米。僕が現在暮らしているホワイトボックスに限りなく近い。玄関からの導線やバスルームを含めると15平米ほどあるが、四方のリビングスペースだけを考えればちょうど9平米くらいだと思う。
実はこの方丈庵は、移動式だった。土台を組んで、簡単な屋根があり、柱や板の継ぎ目はかけ金で留めている状態。「もし気に入らないことがあったら、簡単によそへ引っ越せるようにするという考えから、そのようにしている」と書いている。
鴨長明はこの家を実際に移動させることはなかったが、いつでもどこでも移動できるという感覚こそが、日々の生活に解放をもたらしていたのではないだろうか。これは僕が、全ての荷物をバックパックに収まる量にしていて、明日にでも引っ越し可能であることと同じである。鴨長明の場合は家そのものを簡素に、移動式にしているという点で、現代で言うところのバンライフに近い。
部屋の様子も細かく描写されていて、まとめるとこんな感じの部屋になる。間取りは正方形だ。
・東に三尺のひさしをつけて、かまどがある。(炊事場)
・南には竹すのこがある。
・部屋の右半分は寝床(布団)
・寝床の反対側もう半分を衝立で仕切り、ひとつを仏間にし阿弥陀の絵像と普賢菩薩の絵像をかけている。
・南側のもう半分は竹で吊り棚を作って、黒い皮籠を3つ置いている。その中には和歌の本や管弦の本や、往生要集などの書物を入れている。
・その側に、折りたたみ式の琴と琵琶をひとつずつ立てかけている。
光文社古典新訳文庫版の方丈記には、この文章から起こした具体的な想像間取り図が掲載されているので、興味がある方は見てほしい。およそ800年前のミニマリスト生活がリアルに浮かび上がってくる。
持たない簡素な暮らしだけど、好きな「琴」と「琵琶」つまり音楽と、和歌は手放さなかった。自然を愛して、散歩を好んだ。近所に住む10歳の男子と、60歳の鴨長明が散歩している朗らかな描写もある。小さな部屋で暮らす楽しみを、ヤドカリに、京都の日野の静かな山奥での暮らしをみさごという鳥に見立てている。
衣類に関しては、藤の繊維で作った粗末な衣、麻の夜具、手に入った衣類をまとえばそれでいい。と書いている。服に関しても、割り切っている。
食事については、野原のよめ菜、峰でとれる木の実などその時々に得られたものを食べて、命を繋ぐことができればそれでいい。と書いている。「人に会うわけではないから、自分の身なりを恥ずかしく思うこともない。手に入る食料が少ないから、どんなものでも美味しく感じられる」と、マイナス面をプラスに転換するような思考がある。
後半の記述、出家したけど、執着を手放せなかった、という語りも人間らしくていい。この迷いのようなものが方丈記が今も読み継がれる秘密ではないかと思う。
「仏の教えは、何事についても執着を持つなと説く。いま、こうして草庵を愛することも、閑寂に愛着を持つことも、仏の教えに背くことかもしれないが、ただ、それはそれ、というだけのこととして過ぎていくだろう。無用の楽しみについて語り、このように貴重な時間を無駄にするのはもう、やめよう」
まるでこれまでの自分の語りをひっくり返すような言葉だ。
方丈記は様々な解説がなされていて、多くの現代語訳本が出ているが、実際の文章は短い。短編小説、エッセイといった感じで、文章もミニマルなのだ。1時間もあれば読める分量だ。その中に質素だけど心豊かな暮らし、ミニマリズムのエッセンスと、モノに溢れ際限なき欲望に対峙するヒントが詰まっている。
不思議なことに、自分の生活や状況に似ていて親近感を感じる。震災やパンデミックを経験し、音楽と歌が好きで、自然を愛し、家族は作らず、何も無い部屋でバックパックに入る分量だけのモノで暮らしている。毎日同じ服を着て、散歩をする。ヨーガの教えから執着を手放そうとしているが、あらゆる欲に未だ囚われている。今回読み直して、僕は鴨長明の生まれ変わりかもしれないと思うようになった。歴史上の人物に対して畏れ多いが、現代版、方丈記的生活。
人生のどこかのタイミングでまた読み直してみよう。
良いセールスマンである前に良いクリエイターであること
今週のブログポストからの抜粋です。
営業力は広範な分野だが、まず商品の質が重要だ。良い商品があれば自然と売りたくなり、営業力も高まる。プロの営業はどんな商品でも売れるが、素人が何かを売る場合、良い商品であることが重要だ。良い商品が無ければ自分で作ればいい。自分が良いと思う商品を作れば、誰かに勧めたくなり、それが商売なら自ら売りたくなる。
社会人になりたての頃、営業の仕事をしていたが、その会社の商品に魅力を感じず、売れないことを商品のせいにしていた。営業失格だ。営業から制作にキャリアをシフトした今、改めて営業力の必要性を感じている。インターネットの登場以降、営業に関するコミュニケーション能力は多様化し、ますます求められるようになっている。
また、クリエイターが直接物を販売できる時代になり、様々なプラットフォームやSNSがクリエイター優位に進化している。商品がネットで売買される時代においては、まず自分の作品の魅力や品質を高めることが先決だ。商品が魅力的であれば自然と売れ、良いものは誰かが勝手に広めてくれる。
YouTubeでも案件の話が来るが、チャンネルの方針に合わないものは断っている。良いものは勝手に勧めたくなるものであり、本当に良いと思ったものしか紹介しないようにしている。良いものを広めることでブランドや企業の存続に貢献し、良い循環が生まれる。だからこそ、良いセールスマンである前に、まず良いクリエイターであることが重要だ。
今週気になる記事
・週2日でもOK!「短時間正社員」関心高まる 中小企業も注目
フルタイムの勤務ではなく、「月60時間」や「週2日」など短い労働時間でも正社員として働くことができる「短時間正社員」という働き方が人材確保が課題となる中小企業などから関心を集めています。副業や兼業をはじめ、多様な働き方が広がる中、需要が拡大すると見込んで制度を知ってもらうための取り組みも行われています。
・マネーフォワードが個人向け事業分社、三井住友カード190億円出資へ
資産管理アプリ「マネーフォワードME」と三井住友FGが手掛けるスマートフォン専用アプリによる金融サービス「Оlive(オリーブ)」の機能を掛け合わせ、金融機関を超えた円滑な資金移動サービスを提供する。具体的には、複数口座に分かれた資金について、スマホのアプリ上でドラッグ・アンド・ドロップなどの操作で簡単に移動できるようにすることなどを検討する。
ほかにもクレジットカード利用時のリアルタイムの家計管理やAIアシスタントによる資産管理アドバイスなどを提供。マネーフォワードMEの利用で「Vポイント」の付与も検討する。
オーバーナイトオートミールを食べたことがない方のために説明すると、基本的には調理を必要としないオートミールの作り方です。そのため、コンロや電子レンジでオートミールを調理する代わりに、生のオートミールを牛乳に浸します。この浸漬プロセスにより、オーツ麦が液体を吸収し、生で食べられるほど柔らかくなります。オーツ麦を浸して冷蔵庫で2時間休ませるだけです。ただし、一晩浸すのが理想的です。そのため、オーバーナイトオーツという名前が付けられています。
翌朝には、すぐに食べられる、おいしいクリーミーなボウルまたは瓶の「オートミール」ができあがります。粘稠度はお粥やプリンのようなものです。温かいオートミールよりも濃厚でクリーミーな食感が得られ、簡単便利な朝食になります。
Q&A
皆さんからの質問にお答えするコーナーです。以下のルールを守り、質問を送ってください。
件名に「今週のニュースレタータイトル+質問」と明記
1週に1回の質問まで
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あなたからの質問をお待ちしています!
今週もYouTube、Podcastで多くのコメントや感想を残して頂きありがとうございます。またmailで自己紹介をしてくれた方にも感謝です。あなたのことを知ることができて嬉しいです。お時間あれば送ってください。
Outro
関東も梅雨明けしたようですね。しかし梅雨が明けてからが本格的な暑さ!本当に暑いです。
今週のヨガの練習はヴィンヤサでの足の使い方を意識して行いました。細かなところですが、アップワードフェイシングドッグからダウンワードフェイシングドッグに入る時に、足をどのように返すかです。これには様々な方法があり、先生によっても教え方は異なります。様々な方法がある中で、個人的な好みも関係します。長くやっていると癖がついてしまい、それがいつのまにか自分のオリジナルになってしまうことがよくあります。だからこそスタジオで先生の指導やワークショップを受け、定期的に補正していく必要があります。
今は両足同時にバランスよく返して、ダウンワードフェイシングドッグの時に足の位置を変えずにそのまま呼吸に入る仕方が好みです。この方法をしばらく続けていきます。フルプライマリの中で何度も出てくる動作だからこそ、正しく最適な形を身につけたいです。
今週のもうひとつのアップデートはオートミールを再開したこと。血糖値を上げずに、栄養価も高いオーツ麦は全粒穀物の代表的存在です。気温が上がってきて、朝、食欲が無い時にもいい。今週気になる記事に掲載したオーバーナイトオーツという調理法も、手軽に食べたい人にはおすすめ。ただし全粒穀物にはカビ毒が含まれることが多いので、積極的に取るべきではないという研究もある。もちろんあらゆる食品には、プラス面とマイナス面が必ずあるわけだけど、反栄養素が栄養素を上回る場合には、リスクとなる場合がある。この流れで、来週は食事についての文献を読み進めたいと思っています。